「あれもこれも」と手を広げすぎると、結局何もできなくなる? 仕事の「要」を見極める方法
「今日はやることがいっぱい…!」「全部、同じくらい大事だから、どれから手を付ければいいんだろう…」
仕事をしていると、どうしても「あれもこれも」と色々なことに気を配りたくなってしまいますよね。
特に、真面目な日本人の方は、何でも完璧にこなそうとしがち。でも、実は、全てを均等にこなそうとすると、かえって効率が悪くなり、重要なことを見落としてしまう可能性があるんです。
今回は、仕事で本当に大切なこと、つまり「要」を見極め、効率的に成果を出すためのヒントをお届けします。
なぜ「要」を見極めることが大切なの?
昔、ある村に、頑固な男性と牛がいました。男性は牛車を引こうとしますが、牛はまっすぐ進もうとします。男性は力任せに牛車を後ろに引こうとし、牛も負けじと抵抗。結果、男性も牛も疲れ果て、牛車は一歩も進みませんでした。
この話は、「牛の鼻の緒を引けばいいのに、牛車を引っ張っている」という昔話の一例です。つまり、物事の最も重要な部分に焦点を当てれば、簡単に解決できるのに、回り道をして苦労しているというのです。
仕事も同じです。目の前にたくさんのタスクがあっても、その中には、他のタスクの成果を左右する「要」となるものがあります。この「要」を見極め、優先的に取り組むことで、全体の効率が格段に向上するのです。
「要」を見極めるための3つのステップ
では、具体的にどのように「要」を見極めれば良いのでしょうか? 以下の3つのステップを参考にしてみてください。
ステップ1:目標を明確にする
まず、「最終的に何を達成したいのか?」という目標を明確にしましょう。目標が曖昧だと、何が重要なのか判断できません。
例えば、「営業成績を向上させる」という目標であれば、さらに具体的に「来期、〇〇製品の売上を〇%向上させる」というように、数値目標を設定すると良いでしょう。目標を数値化することで、進捗状況も把握しやすくなります。
ステップ2:タスクを分類する
次に、目標達成のために必要なタスクを全て書き出し、以下の3つのカテゴリーに分類します。
-
重要かつ緊急なタスク: 今すぐ取り組む必要があるタスク(例:顧客からのクレーム対応、納期直前の資料作成)
-
重要だが緊急ではないタスク: 計画的に取り組む必要があるタスク(例:新規顧客開拓、スキルアップのための研修)
-
緊急だが重要ではないタスク: 他の人に任せるか、後回しにするタスク(例:不要な会議への参加、定型的な事務作業)
この分類を行うことで、どのタスクが「要」なのかが見えてきます。
ステップ3:優先順位をつける
最後に、分類したタスクに優先順位をつけます。「重要かつ緊急なタスク」を最優先に取り組み、「重要だが緊急ではないタスク」を計画的に進めていくようにしましょう。
「緊急だが重要ではないタスク」は、できる限り他の人に任せるか、思い切って後回しにすることも大切です。例えば、事務処理が得意な同僚に依頼したり、自動化できるツールを導入したりするのも有効です。
商人の教訓:本末転倒にならないために
昔、ある呉服屋の主人、源兵衛が、息子たちと荷物を積んだロバで市場へ向かっていました。道中、ロバが倒れて死んでしまい、源兵衛は途方に暮れました。
しかし、源兵衛はすぐに冷静になり、「まずはロバから荷物を降ろそう」と言い、次に「ロバの皮も無駄にしないように剥いでしまおう」と指示しました。
息子たちは、荷物よりもロバの皮を大切にする父親に疑問を感じましたが、源兵衛は「荷物は腐ってしまうかもしれないが、ロバの皮はまだ何か使えるかもしれない」と考えたのです。
しかし、結果的に、息子たちはロバの皮を保護するために貴重な掛け布団を使ってしあい、結果的に掛け布団もロバの皮も台無しにしてしまいました。
この話は、「本末転倒」という言葉で表される状況を教えてくれます。つまり、本来大切にすべきこと(荷物、つまり売るべき商品)を軽視し、そうでないこと(ロバの皮)にばかり気を取られて、結果的に全てを失ってしまうというのです。
仕事においても、本末転倒にならないように、常に「何が一番大切なのか?」を意識することが重要です。
目の前の「重要でないこと」に囚われすぎない
ある電機メーカーの営業部長、田中さんは、非常に勤勉な人物でした。彼は毎日、顧客を探し回り、営業活動に励んでいました。そして、ついに大手企業との契約を目前にしました。
契約前に、顧客は会社のショールームを見学したいと言いました。これは絶好のチャンスでしたが、田中さんはショールームを完璧に飾り付けることに夢中になってしまいました。
彼は3日間もかけて部屋の飾り付けに時間を費やし、新しい観葉植物を買い込んだり、照明を調整したりしました。しかし結果的に、自社製のアピールを明確に行った競合他社に契約を奪われてしまったのです。
この例は、「目の前の「重要でないこと」に囚われすぎると、本当に大切なことを見失ってしまう」ことを示しています。田中さんが顧客にアピールすべきは、ショールームの美しさではなく、自社の製品の性能やメリットだったのです。
まとめ:仕事の「要」を見極め、成果を最大化しよう!
仕事で成果を出すためには、「あれもこれも」と手を広げすぎず、本当に大切なこと、つまり「要」を見極めることが重要です。
目標を明確にし、タスクを分類し、優先順位をつけることで、効率的に仕事を進めることができます。
そして、本末転倒にならないように、常に「何が一番大切なのか?」を意識し、目の前の「重要でないこと」に囚われすぎないようにしましょう。
今日から、仕事の「要」を見極め、成果を最大化する一歩を踏み出してみませんか?
最後に
仕事は、マラソンに似ています。最初から全力疾走すれば、すぐに息切れしてしまいます。大切なのは、自分のペースを守り、目標地点を見据えながら、必要なエネルギーを効率的に使うことです。
「要」を見極め、優先順位をつけて仕事を進めることで、あなたはより効率的に、そしてより大きな成果を上げることができるはずです。頑張ってください!




