「え、なんでそう思うの?」相手の心を動かす、最強の思考術
「だって、これが正しいじゃん!」
誰もが一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。自分の考えが正しいと信じて疑わない。でも、ビジネスや人間関係で、その“絶対的な自信”が、実は大きな壁になることもあるんです。
今回は、世界トップレベルのコンサルティングチームが、が実践している、
「相手の立場になって、自分の考えを徹底的に見直す」という、
シンプルだけど最強の思考術をご紹介します。これを使えば、あなたの伝え方が劇的に変わり、相手の心に響く説得力を手に入れることができるはずです。
なぜ、論理だけじゃダメなのか?
論理的に考え、筋の通った結論を出すことは、もちろん大切です。でも、それだけでは、相手に理解してもらい、行動してもらうことは難しいんです。
例えば、完璧な設計図を描いても、それを読める職人がいなければ、家は建ちませんよね?それと同じで、どんなに素晴らしいアイデアでも、相手に伝わらなければ意味がないんです。
「論理的思考は、まるで高級なメガネです。でも、そのメガネで見た景色が本当に正しいのか、しっかり確認しないと、間違った方向に進んでしまうよ。」
つまり、論理的思考はあくまでスタート地点。相手の視点から自分の考えを検証することで、初めて、本当に人を動かす説得力と効果が生まれるんです。
思考の裏側を覗く「後設認知」
思考術の鍵となるのが、心理学の専門用語である「後設認知」です。
後設認知とは、「自分の考え方そのものを客観的に見て、修正する力」のこと。普段、私たちは自分の考えを当たり前だと思ってしまいがちですが、後設認知を使うと、まるで自分の頭の中を第三者が見ているかのように、冷静に自分の思考を俯瞰できるようになります。
具体的には、以下のステップで自分の考えを検証してみましょう。
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前提の確認: 自分の主張の根拠になっていることは、本当に正しいのか? その根拠は何なのか?
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相手の視点: 相手はどんな情報を持っているのか? どんな価値観を持っているのか?
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理解の確認: 自分の伝えたいことは、相手にわかりやすい言葉で説明できているか?
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反論の想定: 相手はどんな反論をしてくる可能性があるか? その反論に対して、どう答えることができるか?
これらの質問を繰り返すことで、自分の考えの弱点や、相手に誤解される可能性のある部分が見えてくるはずです。
実例:GMの生産効率問題から学ぶこと
第二次世界大戦後、アメリカの自動車メーカー、GMは、高い生産効率を誇っていました。しかし、日本の自動車メーカーの台頭により、その地位は脅かされることになります。
GMは、日本の自動車メーカーを調査しました。その結果、自社の生産効率が日本に大きく劣っていることが判明します。
そこで、GMは従業員に生産効率の向上を求める計画を打ち出しました。しかし、多くの従業員は、日本の自動車メーカーの生産効率を信じず、計画に反対しました。
この時、コンサルティングチームはGMの経営陣に「相手の立場に立って、自分の主張を検証する」ことを提案しました。
経営陣は、従業員を日本の自動車メーカーの工場に派遣し、実際に生産現場を見学させました。
そこで従業員たちは、日本の自動車メーカーの驚くべき生産効率を目の当たりにし、自社の問題点を痛感しました。そして、計画に心から賛同し、生産効率の向上に向けて努力するようになったのです。
この事例からわかるように、どんなに論理的に正しい主張でも、相手に理解され、受け入れられるためには、
「相手の視点に立って、客観的な事実を示す」ことが不可欠なんです。
論理を磨くための3つのステップ
問題解決のために、以下の3つのステップを重視しています。
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仮説を立てる: 集めた情報をもとに、何が起こっているのか、仮説を立てる。
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徹底的に検証する: 仮説と結論の間に、論理的なつながりがあるか? 矛盾はないか?
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多角的に検証する: いろんな視点から、仮説を繰り返し検証する。
このプロセスを繰り返すことで、より科学的で、説得力のある結論を導き出すことができるんです。
「思考の硬直化」という落とし穴
私たちは、一度身につけた考え方に固執しがちです。これは、まるで頭が固まってしまっている状態。新しい情報や視点を受け入れにくくなってしまいます。
ある一流企業では、従業員の思考力を鍛えるために、様々なトレーニングを実施しています。その中でも重要なのが、「事実と意見を区別する」ことです。
相手の話を聞く際に、その内容を事実と意見に分解し、それぞれの根拠を問いかけることで、問題の本質を見抜きやすくなります。
例えば、
「この会議はつまらないし、時間が長すぎる」
という意見に対して、
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事実: 会議の内容は議題の報告が中心で、新しい提案や議論は少ない。
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意見: 上記の事実が、会議を退屈に感じさせる原因である。
このように分解することで、問題の本質は、会議の長さではなく、会議の内容にあることが明確になります。
思考のスタートは「なぜ?」から
麦肯ジーは、常に「なぜ?」と疑問を持ち、物事を観察し、考えることを推奨しています。
例えば、新しいスマホを買おうと考えている場合、私たちは自然とスマホに関する情報に触れるようになります。しかし、これは「欲しい」という気持ちに基づいた思考であり、客観的な判断を妨げる可能性があります。
そこで、
「本当に新しいスマホが必要なのか?」
と疑問を立てることで、より冷静に、客観的に判断することができます。
疑問を深掘りするヒント
疑問を持つことは大切ですが、それだけでは不十分です。疑問を深掘りし、核心を見抜く必要があります。
そのために、以下の方法が有効です。
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疑問をシンプルにまとめる: 複数の疑問を、最も重要な疑問に絞り込む。
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疑問の核心を探る: なぜその疑問が生まれたのか? 疑問の背後にある問題は何か?
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相手に質問する: 相手の視点から、疑問を深掘りする。
質問力で核心に迫る
疑問を深掘りするためには、質の高い質問が不可欠です。質の高い質問とは、
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学ぶ意欲に基づいている: 相手の知識や経験を尊重し、学びたいという姿勢を示す。
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先入観にとらわれていない: 自分の考えに固執せず、オープンな心で相手の話を聞く。
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具体的な質問である: 抽象的な質問ではなく、具体的な状況や事例について質問する。
これらの要素を備えた質問をすることで、相手は安心して本音を語り、問題の本質に迫ることができます。
まとめ:相手の心を動かす思考術を身につけよう
論理的思考は、問題解決のための強力な武器ですが、それだけでは不十分です。
そこで実践する思考術は、「相手の立場に立って、自分の考えを徹底的に見直す」という、シンプルだけど最強のアプローチです。
後設認知を活用し、事実と意見を区別し、常に疑問を持ち、質の高い質問をすることで、論理的思考の盲点を克服し、相手の心に響く説得力を手に入れることができます。
今日から、あなたの思考を「相手の立場」で裏切ってみませんか?きっと、これまでとは違う世界が見えてくるはずです



